★公開日: 2022年6月23日
★最終更新日: 2022年6月24日
- 飲食店のゴキブリ駆除を専門業者に駆除を依頼したい
- でも駆除施工に依頼すると何をしてくれるのかがよく判らない
- 駆除業者はどんな作業までを値段内でしてくれるのかを知りたい
「プロが飲食店に教える完全ゴキブリゼロ(Gゼロ)対策」。
今回は、専門業者に依頼した際、彼らは一体どんなことをしてくれるのか、プロの立場からお教えいたします。
この記事を読めば、あなたがゴキブリの駆除業者に依頼した場合、お店で「どんなことをどのようにしてくれるのか」、をどこよりも詳しく知ることが出来ます。
というのも、そもそも何をしてくれるのか、を知らなければどこにどのくらいのお値段でお願いすればいいか、見当も付きませんよね。
しかもこれって結構知らないお店が多いんじゃないかと思います。
実際、あなたのお店でも単に、ゴキブリ駆除業者は「ゴキブリ退治に来るだけ」だと思っていたり、しませんか?
そこで今回はプロとしての立場や目線から、一般的なゴキブリ駆除とは何を「してくれる」のか。また、何を「してくれない」のか。
このあたりを解説していこうかと思います。
この記事のレベル |
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Contents
執筆者紹介と本日のポイント
まずは、ご挨拶を。

…とまあ、こんなぼくがこの記事を書いてます。
さて。
今回のお話のポイントは、こちらになります。
念頭に置いて、お話をどうぞ読み進めてください。
この記事のポイント |
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それでは、早速ながら本題に入っていくとしましょう。
ゴキブリ駆除業者は何をするのか

イメージとしてはスプレー式の殺虫剤を散布するくらいしかないのですが、それだったらぼくでもできそうですけど…
彼らの業務は大きく4つ。
1:調査
2:駆除
3:効果判定
4:再駆除と予防、だ。
若大将が言っているのは、その2番目だけじゃないか。
この一式全てを行って「ゴキブリ駆除」となるんだよ。


業者の技術レベルやサービス基準は、これらを含めて「どこまでしっかりやってくれるか」が選定ポイントになってくるんだ。

一般的にゴキブリの駆除業務というのは、次の4つでワンセットです。
「ゴキブリ駆除」とはこの一式を言う |
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とまあ、判りやすくいうなら、このような流れです。
この流れを見ると、「PDCAサイクル」の一連の流れを組んでいることがわかりますね。
PDCAサイクル
「PDCA(=PDCAサイク)」とは、このように「計画:Plan」、「実行:Do」、「検証:Check」、「改善:Action」という4つの流れのアルファベットの頭文字を取ったものです。
品質管理をはじめとした、ある問題の改善のための「改善活動」の基本的な考え方です。
ゴキブリがいる、というのも勿論、お店における「問題」なので、その解決、「改善」のためにこの考え方は十分に使うことが出来ます。
ぼくがこのブログで提唱している「GDCA」もこれをベースに考え出したものです。
これを「ゴキブリ駆除」という「問題解決」にあてはめると、業者さんはこのような「改善」のための活動を行ってくれる、というわけです。


ただ「退治する(D)」だけでは改善はなされないんだにゃ。
駆除作業の解説
このように、ゴキブリの駆除作業とは、PDCA一連の流れに沿ってのものとなります。
さて、上の4つの内容を、「より具体的に何を行うか」というプログラム名で、少しばかり専門的、業界的に言い換えます。
尤もやることは勿論、上と全く同じなんですが、割りとこんな感じでカッコよく言われたりします。(笑)
IPM的ゴキブリ防除業務の主なプログラム |
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ではこれらを順番に、以下「何をどうするか」について解説するとしましょう。
初期診断調査(調査:P)
業者さんがまず来訪し、お店の実情をうかがいます。
と同時に、業者さんはお店の規模や状態、ゴキブリのおおまかな生息状況の「アタリ」をつけ、こことここにポイントを置こうなどといったおおよその駆除内容をテキパキと組み上げます。
同時に簡単な場内の見取り図を作成し、トラップの設置箇所や使用数、薬剤の設置数などを簡単に算出します。
場合によっては、何らかの捕獲トラップを置いていくこともあるでしょう。
これは作業時にまで店内に設置することで、その箇所や周辺のゴキブリの生息の度合いを確認するためのものです。
この「初期診断調査」によって出された提案は、業者さんからのお見積というかたちで提出されることでしょう。
ですから業者さんのなかには、ここまでは無料で対応してくれるところもあります。
「調査見積無料」と表示している業者さんが、それです。
本来なら専門業者のプロが出張して見にいくわけですから当然ながら人件費が発生しているのですが、しかし作業の依頼をいただける可能性を前提に、それを無料サービスにしている、というわけです。

減数処理(駆除:D)
実際にゴキブリ駆除のために薬剤処理を行います。
「ゴキブリを減らすための処理」ということで、「減数処理」なんて呼ばれたりします。
つまり、上で若大将がイメージで「殺虫剤を散布する」と言っていたのが、これにあたります。
一般的にも、駆除業者はただこれだけのためにお店にきていると思われがちです。
確かにこの業務が一番重要であるのはそのとおりではあるのですが、だからといってこれだけでは成り立たないのが、現代のゴキブリ駆除です。
さて、その主な駆除施工ですが、実は割りとこの手法自体は多岐にわたります。
ゴキブリの駆除方法(主な減数処理の手法) |
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なお、上の(カッコ)の中の薬剤は、わかりやすくイメージ出来るように市販の代表的な薬剤名を入れてありますが、しかし通常の現場でこれらが使われることはほとんどありません。
何故ならぼくらは専門業者用の薬剤を使用することがほとんどだからです。
さて、実はこのように駆除施工というのはかなり種類があったりします。
そしてこれらをどのように組み合わせるか、どこでどう使用するか、は駆除業者の腕の見せどころです。
この場所にはこれが効果的だ、この生息状況ならこうしたほうがいい、など、業者それぞれのスキルと経験値に基づく判断で、それらは選ばれます。
ですから「これ」というのは一概には言えないのですが、一般的な組み合わせの代表例として、こんなものがあります。
一般的なゴキブリ駆除作業の手順 |
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およそ多くのゴキブリ駆除業者さんは、駆除作業と称してこのようなことを行ってくれるところが多いかと思います。

モニタリング(効果判定:C)
実は、ゴキブリの駆除作業が1回で終わることは、あまりありません。
何故なら幾つか理由があります。
まず1つめに、現実問題としてゴキブリを1回で駆除しきることは難しいからです。
必ず生き残りがいます。どんなに腕のいい業者でも、どんなに効果のある薬剤でも、1回だけの駆除作業で0匹にさせることは、ほぼといっていいくらいに90%以上、不可能です。
それと、ゴキブリの卵には殺虫剤は効きません。
だからその卵がかえれば、またゴキブリが発生します。
そこで生まれたゴキブリのための駆除というのが必要になります。
また飲食店の環境というのはゴキブリには最適で、隠れる場所がたくさんあります。
例えば、コールドテーブルの奥のモーターブ周辺。その液晶内や電源ユニット内。
こんなところまで殺虫剤を届かせてしまうと、当然ながらコールドテーブルは故障してしまいます。
だから業者はそこまで薬剤を散布したくても、出来ません。
その他様々な理由から、1回での駆除というのは非常に難しい。
そこで改善活動を繰り返す必要が出てくるのです。
そもそも改善活動をやりっぱなし、というのは何の改善も見られないのと同意です。
時折、値段重視で「やりっぱなしの駆除施工1回幾ら」で請け負う業者もいますが、こういうところは「安かろう」だと割り切って取り扱うほうがいいでしょう。
さて、そんなわけでここで「モニタリング」という「効果判定」が必要になります。
これは捕獲トラップをゴキブリの生息箇所に設置し、どのくらいゴキブリが生き残っているのか、どこで卵がかえってゴキブリが生まれ育っているのか、と生息点検を行うのです。
大体、2,3週間から1ヶ月くらいの期間、トラップを設置し、様子を見ます。
その後、トラップを回収し、生息状況をチェックします。
これによって、駆除施工の効果を確認するわけです。
ここでもし駆除施工が必要なら、改めて「減数処理」を行います。

ゼロベース管理(予防:A)
こうしてようやくゴキブリの駆除が終わり、ゴキブリがいなくなります。
つまり「Gゼロ」になりました。
最後はこれを維持していかなくてはいけません。
それが「ゼロベース管理」です。
ウチではそのためにゴキブリが今後いすわらないような「環境改善」を提案していますが、それは店舗側で行うべきこと。(外部依頼してもかまいませんが、コストが別途かかります)
一般的な駆除業者としては、これがサービスのクロージングです。
ここでは業者はトラップの回収とともに、予防施工としてベイト剤を設置することもあります。
これは業者に依頼したサービス内容次第です。
年間で委託管理を業者にお願いする場合には、この「ゼロベース管理」維持のため、簡易的な駆除施工を行うところが多いでしょう。
「ゴキブリが出始めたから(Gゼロじゃなくなったので)、(ゼロベース管理のために)ベイト剤を設置しておきますね」みたいに、業者から伝えられて作業が行われる、みたいな状況です。
これらは契約内容によってケースバイケースです。

これは「してくれない」?
業者さんの契約次第となりますが、以下のことは一般的に業者さんとの契約次第となります。
多くの場合はオプションでの追加対応(別途料金)となることが多いでしょう。
基本的には、「事後の清掃」。
それから契約完了後に再びゴキブリが出た場合の、「再度の駆除作業」です。
ゴキブリの死骸や卵の除去清掃
駆除によって死んだゴキブリの死骸には、卵が含まれていることも多いです。
これを放置していれば当然また卵からかってゴキブリが生まれてしまいます。
こうした死骸の除去清掃を含むかどうかは、業者さんとの契約次第です。
多くの業者さんはオプション対応しているところが多いかと思います。
勿論依頼すれば出来なくもないですが、別途清掃業者を雇うことになるため、費用がかさみます。
薬剤散布後の一般洗浄
業者さんが薬剤散布を実施した場合、作業内容によっては殺虫剤が様々な機器や器具、食器などに付着してしまうことが多いでしょう。
これらの汚染による人的な健康被害というのは、ほとんど全くと言ってもいいくらいのレベルで発生しません。
ですが飲食店である以上、清潔を維持することは重要です。
そのため、駆除作業後には清掃が必要になるケースが多いでしょう。
これらも基本的には、飲食店側で行う契約となっている場合がほとんどです。
これも同様に、追加依頼で出来なくもないですが、別途清掃業者を雇うことになるため、費用がかさみます。

契約完了後に再発したゴキブリの駆除
一般的に、契約内容を完了し、ある契約期間を終えた後にゴキブリが出た場合、再び施工を行う場合には別途、改めての新規契約が必要になります。
保険契約などをしている場合は別ですが、一度駆除施工をしてもらったけれどまたゴキブリが出たのはどういうことだといわれても、駆除業者は対応しきれません。
それは折角「Gゼロ」状態にして「ゼロベース管理」したのに、また再びゴキブリを持ち込んで生息を許してしまったお店側の問題だ、ということになります。
当然、じゃあまた改めて「初期診断調査」を行って、また駆除施工を行いますので、お見積しますね、という流れになるでしょう。

まとめ
今回はゴキブリ駆除業者がどこのようなことを行ってくれるのか、ということについて解説しました。
この記事のポイント |
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ざっくりとまとめると、こんな感じですね。
そしてゴキブリ駆除業者さんの主なサービスというのは細部の違いこそあれ、概ねこのようなものです。

ですから駆除業者の選定の際には、これらの流れを踏まえながら、どこまでやってくれるのか、どんなオプションがあるのか、などを各店舗さんで考えながら適したものを選ぶとよいでしょう。
それでは。